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最終更新日:2008年3月31日

「ジョブコーチ」支援を得るために

NPO法人 くらしえん・しごとえん
鈴木 修

1.「ジョブコーチ」とは

シンポジウムの様子

障害者の就労支援援助者の総称。

公的な資格はなく、様々な形での「ジョブコーチ支援」があり、呼び方も「ジョブサポーター」「ジョブライフサポーター」「就労支援サポーター」「ジョブコーチ」等がある。

*「ジョブコーチ」という言葉だけが「一人歩き」しているという危惧もある。

国の制度のもとで活動

  • 「職場適応援助者助成金」による支援
    原則1ヶ月から7ヶ月(標準3ヶ月)、フォローアップ1年
  • 取りまとめ:静岡障害者職業センター
    〒420-0851 静岡市黒金町59-6 大同生命静岡ビル7F
    電話:054-652-3322

県の事業のもとで活動

  • 「しずおか障害者就労支援ネットワーク」による「ジョブコーチ」支援
    原則1ヶ月15回程度、単年度事業、養護学校実習支援(3年生就労対象)
  • 取りまとめ:浜松NPOネットワークセンター
    〒432-8021 浜松市中区佐鳴台3-52-23
    電話/ファックス:053-445-3717

他の都府県における制度

  • 「ジョブサポーター」の養成・派遣(広島県、三重県、京都府、和歌山県等)
  • 「ジョブライフサポーター」の養成・派遣(大阪府)
  • 「障害者就労支援者」の養成・派遣(愛知県)
  • 「障害者雇用定着促進事業」により「ジョブコーチ」を常駐(金沢市)

各企業・事業所で雇用され活動する「ジョブコーチ」

  • 第2号職場適応援助者、業務遂行援助者、等

施設、NPO法人、就業・生活支援センター等で就労支援をするジョブコーチ

参考 都道府県等における障害者雇用促進に係る支援施策の概要(平成18年度)
(平成18年12月厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課)

2.ジョブコーチの仕事

  • 支援の対象は、障害者本人、事業主、家族三者の中間にたつ
  • 最終的な目標は、ナチュラルサポートの形成
    • 「支援に入ったときから消えかた(フェイドアウト)を考える」
  • 職場定着のためのフォローアップ
  • 仕事の性格
    • 緊急性、瞬間性、計画性、柔軟性、専門性、
      ・障害者就労における「ER(救命救急)」
      ・就労という「極めて短い時間をつなぎ合わせる」

ジョブコーチによる支援事業実施マニュアル(第1号職場適応援助者)

1)障害者支援

  1. 人間関係、職場内コミュニケーションに関する事項
    • 挨拶・返事、報告・質問、会話への参加等のコミュニケーション能力向上に係る支援
    • 他者との協調、職場内のマナー等対人処理能力の改善に係る支援
  2. 基本的労働習慣に関する支援
    • 継続勤務、安定出勤、電話連絡等に係る支援
    • 規則の遵守に係る支援
    • 身だしなみ、健康管理、生活のリズムに係る支援
  3. 業務遂行に関する事項
    • 業務内容等の理解に係る支援
    • 作業遂行力の向上に係る支援
    • 作業態度の改善に係る支援
  4. 通勤に関する事項
    • 通勤時のトラブルへの対応力、交通機関の利用能力の向上に係る支援
  5. 社会生活技能、余暇活動に関する事項
    • 社会資源の活用方法の理解促進に係る助言
    • 余暇活動への参加、休日の過ごし方等への対応に係る助言

2)事業主支援

  1. 障害に係る知識に関する事項
    • 障害特性の理解と障害に配慮した対応方法に係る助言、援助
    • 障害に関する医療機関等との連携方法等に係る助言、援助
  2. 職務内容の設定に関する事項
    • 作業分析、課題分析に係る助言、援助
    • 作業内容、作業工程、作業補助具、作業標準等の設定、作業能力の把握方法等に係る助言、援助
  3. 業務遂行に係る指導方法に関する事項
    • 効果的な指導方法、指示や見本の定時方法等に係る助言、援助
    • 歩留まり率の向上、作業ミスの改善等に係る助言、援助
  4. 職場の従業員の障害者との関わり方に関する事項
    • 指示、命令、注意の仕方、しかり方、ほめ方、同僚との役割分担の方法、グループワークでの留意事項等に係る助言、援助
    • 障害の知識に係る社内啓発等の方策に係る助言、援助
    • 休憩時間の交流、社員旅行、余暇活動での事業所側の対応方法等に係る助言、援助
  5. 家族との連絡、連携体制の確立関する事項
    • 事業所と家族の関係調整等に係る助言、援助
    • 家族との連携方法についての助言、援助

3)家族支援

  1. 障害に係る知識に関する事項
    • 障害特性と家族の対応のあり方、関係機関の利用方法に係る助言、援助
    • 事業主への協力依頼内容等に係る助言、援助
  2. 職業生活を支えるために必要な知識、家族での支援
    • 安定した職業生活を送るための家族の関わり方に係る助言
    • 余暇、休日の過ごし方、生活リズムの確立・維持のための家族の役割に係る助言
  3. 事業主との連絡、連携体制の確立に関する事項
    • 事業主と家族との関係調整等に係る助言、援助
    • 事業主との連絡、連携方法に係る助言、援助

3.就労するために必要なこと(スキル以前のものとして)

  • 本人:働きたい、という思い
  • 家族:親の思いと本人の思いのすりあわせ
  • 施設:「利用者」から「被雇用者」へという職員の意識の転換
  • 事業所:「何のため」に雇用するのか、それなりの「覚悟」

4.ジョブコーチ制度について

  • ジョブコーチに対する報酬の現状
    • 職能として確立されていないため、十分な報酬額が得られていない
    • ボランティアとして認識されているような現状がある
  • 公的制度を超えたものが求められる
    • 公的制度では無料で利用できるが、果たしてそれで良いか
    • 公的な補助がなくなったら支援はおしまいという現実
  • 「当たり前に」働くためにどう利用するのか
    • 「してもらう」のではなく、「自らが主体」の意識で利用する

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