独立行政法人福祉医療機構「長寿・子育て・障害者基金」助成事業
現場からのメッセージ
「情報は命を救う」「情報は生きる支え」この二つを基本理念とし、マルファン症候群を取り巻く環境改善を行なうための支援団体として、2007年5月に特定非営利活動法人の活動を開始。現在の主な活動としてはマルファン症候群に関して医療や生活上の情報が少ないため、情報収集と、関係者に対する情報提供が中心。
マルファン症候群は、先天性の遺伝子疾患で、細胞と細胞をつなぐ組織が弱い体質のため、心臓、血管、肺、目、骨格などに症状が出る。症状の出方や程度には個人差があり、多くの場合加齢とともに進行。疾患の知識がなく、適切な治療(予防的治療を含む)をしていなければ、若くして命を落とすことがある。いずれの部位にも症状が出た場合には、それぞれ特徴ある障害が顕われ、日常生活に支障をきたす。罹患数は、約5000人に一人の確率で発症すると言われ、全国に約25000人程の患者がいる事になるが、実数は把握されていない。罹患者の75%は親からの遺伝であるが、25%は突然変異としてどの家庭からも生まれる可能性がある。
先天性の体質ですが、多くの患者は情報が少ない中、一人(一家族)で悩み、不安な生活を余儀なくされている。また、突然倒れ、手術後初めてマルファン症候群だと告知され、生活が激変する方も少なくない。
当会などの活動によって、そうした当事者が連絡を取り合い、互いに情報を交換し合うことで前向きになっていく事例が生まれてきている。こうした当事者の集まりは、「受容」の促進にとって重要な役割を果たしている。
しかしながら、同一地域における患者数が少ないことと、全国を対象にしなければならないこと、そして、支援する当会の存在を、必要とされる当事者に伝える手段が数少ないことが大きな壁になっている。
見かけからは、非常に疲れやすい、ストレスを受けやすいなど、その障害特有の「出来ること、出来ないこと」が周囲の人に理解されにくく、「サボっているのでないか」といったような誤解を生じやすいという問題もある。
こうした摩擦が生じないような社会的な理解の促進と、職場環境の整備がされれば、患者自身が自分の症状にあわせた自己管理をしながら就労することが可能になると思われる。